本が好き。

とりわけ、お仕事小説が好きです。

これより良い物件はございません!

 

 不動産屋さんのお仕事が気になっていたところ、ちょうど新刊としてこの作品が発売されていたので迷わず買って読んでみました。

タイトルと、ukiさんのカバーイラストから、「これは経費で落ちません!」と似た雰囲気だなーと初見で感じましたが。

 

 

同じ職場で働いていた恋人に浮気をされて、勢いで会社をやめてしまった藤堂美雪。

高級住宅地・広尾をふらふらしていたところ、リノベーションに力を入れる「イマディール不動産」に出会い、思いがけずそこで働くことになります。

前職も不動産屋で働いた美雪ですが、以前の職場は賃貸物件の情報を掲載し、紹介するというもの。今回イマディール不動産で勤めることで、不動産屋にもいろいろ違いがあることに気づくことに・・・。

 

イマディール不動産が力を入れているのは物件の「リノベーション」。

「リフォーム」と何が違うの?とパッと疑問が出てきましたが、この作品によれば、「ただ壁紙を貼り替えたり、フローリングを新しくする」のがリフォームで、「間取りを大幅に変えるといった、お客様のニーズに合わせた変更を加えて価値を高めること」がリノベーションなんだそう。

 

リフォームの域を超えて中身そのものを作り替える、といった方が分かりやすいですね。

 

不動産業界には疎かったので、この業界について少し知ることができ、勉強になりました。

ただ、ストーリーとしては少し出来すぎている感があるな~と思いました。

勢いで前の会社を辞めたけど、運よく職場環境の良い会社に転職できて、かっこいい先輩といい感じになって、試験にも受かって・・・。美雪が、営業の仕事の中で難しいお客さんの対応に苦戦する部分もありましたが、個人的にはそこまでの困難という感じでは無かったかな。

 

楽しめたのは、イマディール不動産がある広尾のあたりの街の描写ですね。

広尾や白金はほとんど行ったことないけど、学生時代にその近くの学校に通っていたので、グーグルマップで検索しながら読んでました。

学生のときは、学校と最寄り駅の往復しかしてなかったけど、今回地図で見てみて、広尾とか近かったんだなあ・・・と少し驚きました。

 

 

コロナのせいで図書館が長いこと臨時休館になってつらいです・・・。

早く落ち着いてほしいなあ。。

アンと青春

 

アンと青春 (光文社文庫)

アンと青春 (光文社文庫)

  • 作者:司, 坂木
  • 発売日: 2018/10/10
  • メディア: 文庫
 

 前の記事「和菓子のアン」の続編。

結構厚さがあるけど、読みやすくてあっという間に読み終わりました。

 

 

アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」でアルバイトを初めて8ヶ月が経ちました。

仕事には慣れてきたものの、自分の和菓子の知識は店長や先輩の受け売りで、「中身が無いもの」と悩み始めます。

でも、悩みながらも、分からないことを自分で調べたり、人に聞いたりして少しずつ成長していくアンちゃんは偉いな~と私は思います。

 

アンちゃんが優しい店長や先輩に囲まれているのが幸せなように、アンちゃんみたいな素直で向上心のある後輩を持つ「みつ屋」の先輩たちも幸せだなと思います。

メモしない、分からないことをそのままにする新人とか普通にいるし・・・。

 

今作も、和菓子に関するエピソードがたくさんあって、とてもためになりました。

今回は特に歴史的なことが多かった感じがします。

 

『知れば知るほど、面白くなる』

 

友達と京都に出かけ、何百年も前の人たちも、今自分たちが見ているのと同じ景色を見ていたことに思いを馳せて、アンちゃんはこのように感じました。

「京都の奥深さは和菓子のそれと同じ」だと。

 

京都や和菓子に限らず、いろいろなことを知ることは、人生をぐっと豊かにしますよね。

その土地の歴史を知っていれば、観光がもっと楽しくなるし、経済を勉強していれば、「みつ屋」の椿店長みたいにデイトレーダーとして副業できるかも。

 

今作で熨斗のマナーがちょっと取り上げられていたけど、そういうのも若いうちにちゃんと勉強しておかないとなあ・・・。

 

「青春」とタイトルにあるだけに、ほんのり恋の気配もありました。

その行く先や、アンちゃんの今後も気になるので、また続編出てほしいです!

 

和菓子のアン

 

和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

  • 作者:坂木 司
  • 発売日: 2012/10/11
  • メディア: 文庫
 

 私自身が和菓子が好きで、気になっていた作品。

坂木司さんの作品を読むのは初めてです。

 

高校を卒業するも、やりたいことが特に無くて進路を決めていなかった梅本杏子(きょうこ/通称「アンちゃん」)は、とりあえず何かアルバイトを・・・と、デパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始めます。

個性的な先輩たちや、謎めいたお客さんたちと関わる中で、和菓子の奥深さを知ることになるアンちゃん。

読むと和菓子を食べたくなります!笑

 

まず、主人公の女の子がいわゆる「ぽっちゃり系」なのが少し新鮮でした。

体型に自信が無いアンちゃんが、和菓子屋をアルバイト先に決めたのも、食べることが好きなことと、制服がシンプルで忙しすぎないから 笑

 

和菓子が好きな私ですが、季節の上生菓子の名前や、和菓子特有の言い回しなど、知らないことばかりでした。

上生菓子の『おとし文』『星合』『未開紅』etc・・・スマホで画像検索しながら読みました。和菓子は洋菓子ほど華やかではないけれど、その一つひとつに歴史があることをこの作品を読んで感じました。

 

「みつ屋」のメンバーもキャラが立っていて良いです。

みんな裏の顔?を持っていて、接客も和菓子の知識も完璧な椿店長はデイトレーダー、イケメンで和菓子職人を目指す立花くんは中身が超乙女、華奢で可愛らしい女子大学生の桜井さんは元ヤン。

でもみんな仕事に真面目で、優しくて「楽しそうな職場でいいな~」と思います^^

 

今作がとても読みやすく面白かったので、今は続編の「アンと青春」を読んでいます。

まだ読み始めたばかりなので、どんな展開になるのか楽しみです!

校閲ガール トルネード

 

校閲ガール トルネード (角川文庫)

校閲ガール トルネード (角川文庫)

 

 一度読んだのですが、ブログに書きたくなって再読しました。

校閲ガール」シリーズは3作品出ていて、1作目は正直「ちょっと微妙かなー」と思いました。でも、2作目と今作は個人的にとても好きです。

 

 

大手出版社「景凡社」の校閲部で働く河野悦子。

ずっと女性ファッション誌の編集部で働くことを希望していて、今作でついにそれが叶うことになりました。

ファッションが大好きな悦子は、編集部でバリバリ活躍できる自信がありましたが、実際に配属されて、女性ファッション誌の編集部で働くことの厳しさを痛感することになります・・・。

 

 

『私の天職は編集者じゃなかったんです』

『やりたい仕事と向いている仕事が、ちがったんです』

 

女性ファッション誌の編集部で半年働き、再び校閲部に戻った悦子の言葉です。

今まで読んできたお仕事小説って、主人公が憧れていたり、好きな仕事に就いて、その中で厳しさややりがいを感じていく・・・というものが多かったので、悦子のように「憧れの仕事が自分に向いていなかった」という結末は、現実的で印象に残りました。

 

やりたい仕事と向いている仕事が一致していれば、これより幸せなことは無いですが、実際はなかなかそうはいかないですよね。

悦子は、最初は嫌々校閲の仕事をしていましたが、意外に自分に適性があることを感じ始めます。そして、憧れの編集部での仕事を経験し、最終的に自分にとっての天職は「女性ファッション誌の校閲をすること」だと気が付くことに。

 

この世の中にはたくさんの仕事があるけど、人生の中で経験できる仕事の数はとても少ないです。

その中で、「今の仕事が楽しい!」と感じられる人はどれくらいいるのでしょうか。

楽しくなくても「仕事はお金のため」と割り切っている人も多いと思いますが、人生の中で大部分を占める仕事が、自分にとってやりがいを感じられるものだったら、もっと幸せになれるだろうな・・・と感じます。

 

私も悦子みたいに自分の天職が見つかるといいなあ。

とりあえず、私は新しい職場・仕事にまず慣れないと・・・!

マスカレード・イブ

 

マスカレード・イブ (集英社文庫)

マスカレード・イブ (集英社文庫)

 

 「マスカレード」シリーズは既に読んでたんですが、手元にある「マスカレード・イブ」を再読。

これを読んで、無性に「マスカレード・ホテル」の映画が見たくなってレンタルしてきました。映画も面白かった!

 

「マスカレード・ホテル」では、ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク・山岸尚美と、刑事の新田浩介がコンビを組んでいましたが、今作は彼らが出会う前のお話です。

 

「ホテル」でも感じましたが、フロントクラークの山岸さんの観察力や推察力がすごい。そしてお客様を徹底的に信じ、プロフェッショナルな対応をする姿がとてもかっこいいです。

私自身も接客の経験はあるけど、人の名前や顔を覚えるのが苦手なので、山岸さんの能力の高さがとても羨ましいですね・・・。

彼女いわく「お客様の目を見て、この方に何をして差し上げられるだろうと考えることで覚えられる」のだそう。うーん、すごい・・・。

 

前作で「ホテルマンは人を信じるのが仕事、警察は人を疑うのが仕事」という内容の場面があったのですが、映画ではその対比が見事に演じられてました。

山岸さんはお客様を信用して騙されてしまったり、逆に新田さんはお客様を疑いすぎて、反省をしたり。

お互いの、プロとしての良い部分が上手い具合にフォローし合えてるなと感じましたね。

 

東野圭吾さんの作品は「マスカレード」シリーズが初めてだったのですが、とても読みやすく面白かったです。

他の作品は未読ですが、人気の作家さんだし、きっと面白いんだろうな~。

 

わが家は祇園(まち)の拝み屋さん

 

わが家は祇園の拝み屋さん (角川文庫)

わが家は祇園の拝み屋さん (角川文庫)

 

 前の「鴨川食堂」に続き、京都もの。

表紙が好きなイラストレーターさんのもので、前から気になっていた作品です。

 

舞台は京都は祇園

観光客でひしめく京都の中でも、大人気の場所ですよね。

主人公の櫻井小春は、東京に住む16歳の女の子なのですが、中学の終わりに、ある理由で不登校になってしまいます。

そんな中、京都に住む祖母・吉乃から、自身の和雑貨店「さくら庵」を手伝ってほしいと連絡があり、京都に住むことに。

 

「さくら庵」を手伝っていく中で、祖母へ不思議な依頼がぽつぽつと舞い込んでくることに小春は気づきます。

奇しくも、前記事の『鴨川食堂』と同じく、「さくら庵」にも表立って公開していない、別の側面があるようです・・・

 

京都の通りの名前がよく出てくるので、グーグルマップ片手に読んでました。

京都市内はバスや地下鉄で移動して目的地に行くことが多いから、観光地それぞれの様子は何となく覚えてるけど、どの道がどう繋がっているかは全然分からないです・・・。

 

あと、「さくら庵」で小春の叔父・宗次朗がつくる和菓子がとても美味しそう!

この作品を読んではじめて「水無月」という和菓子があることを知りました。

 

 

裏表紙のあらすじに「ほっこりライトミステリ」とありますが、そんな感じですね。

読みやすいし、小春を通じて自分が京都で暮らしているような気分になれます。

現在11巻まで出ているので、今回読んだ1巻はまだまだ序章ですね。

のんびり読み進めていきたい作品です。

 

鴨川食堂

 

鴨川食堂 (小学館文庫)

鴨川食堂 (小学館文庫)

  • 作者:柏井 壽
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 文庫
 

 新型ウイルスの影響で、「今京都が空いている」と噂を聞きました。

普段外国人ばかりで、全然風情を感じられないから、その情報を聞いて「京都行きたい!!」と高速バスやホテルを見ていたのですが、結局予定が合わず行けていません・・・。

「せめて京都を感じられる本を読みたい!」と手に取ったのがこの作品です。

あとで書く予定の記事も、↑の事情から京都モノです。

 

 

『鴨川食堂』は鴨川流(ながれ)・こいし親子が切り盛りする、看板の無い小さな食堂です。

作中の記述によれば、東本願寺の近くで、京都駅からもあんまり離れていないようです。

鴨川食堂には『鴨川探偵事務所』という、もうひとつの商売(?)があり、料理雑誌に広告を出しているのですが、「食、捜します」の一行のみの広告のため、鴨川食堂にたどり着く人はごくわずか。

 

『鴨川探偵事務所』では、依頼人からの情報をもとに、彼らがもう一度食べたい料理(味)を再現するという、「食捜し」を専門としています。

「子供の頃に食べたナポリタンをまた食べたい」「実母の作った肉じゃがを再現してほしい」など、料理も依頼内容も様々。

読んでいてお腹が空いてくる作品です・・・笑

 

小説なので、絵とかは無いですけど、文章から「京都らしい丁寧に作られた料理」という雰囲気が伝わってきます。

京都の野菜を使っていたり、国内の有名な陶磁器を使用するなど、鴨川食堂のこだわりを感じます。

 

鴨川親子の会話でよく出てきた言葉「あんじょう」。

最初見たときは「?」だったのですが、文脈から「ちゃんと」とかそういう感じかなと推測・・・。

ネットで調べたら「上手に・うまい具合に」という京言葉なんだそう。

またひとつ賢くなりました。

 

 

京都いつ行けるかなあ・・・

転職したばっかだし、繁忙期だし、コロナもこの先どんだけ感染拡大するのか未知すぎるから、まだまだ行けそうにないな 泣