翻訳ガール
お仕事小説は久しぶりです。
今までいろんな「〇〇ガール」を読んできましたが、今回は翻訳のお仕事をする女性のお話です。
小学生時代にマイケル・ジャクソンの曲に出会ったことがきっかけで、英語に興味を持った、目白泉子(いずみこ)。
通訳者を目指していましたが、コミュニケーション能力が乏しい泉子は通訳者を断念することになります。
彼女が次に選んだのは翻訳の仕事。
実用翻訳の会社「タナカ家」で働く傍ら、個人で海外小説の翻訳を手掛けています。
今回依頼された海外小説の翻訳に力が入る泉子ですが、会社勤めの身であることや、納期がタイト、いやがらせ等々、様々なハプニングに見舞われることに・・・。
この作品で初めて知ったのが、「実用翻訳の会社」という存在。
契約書やマニュアルといった、ビジネスの場で発生する文章の翻訳業務を請け負うそうです。
泉子はタナカ家で「チェッカー」という、校正者の役割を担っています。
海外小説の翻訳は、異言語で綴られた作品を、いかに日本語で表現するかが、翻訳者の腕の見せどころです。
日本語には本当にたくさんの言い回しがあるので、英単語ひとつ取っても、文脈に沿った適切な言葉を選ぶことが必要になります。
たくさんの文章に触れて、言葉や表現の引き出しを作ること、そしてそれを引き出すセンスが必要なんだなと思いました。
「翻訳ガール」とあるものの、上記のような、「翻訳者の仕事ならでは」というシーンが少なかったのが残念でした。
翻訳者らしい、読者をうならせるような、英語→日本語の翻訳をもっと見たかったです。
また、作中で発生する数々のハプニングも、それを起こした人物に全く共感できませんでした・・・。
この作品の前に出版された本も借りているので、あとで読んでみます。
面白いといいな。。